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ジェイ・ボスロイドが語る日本サッカー。フットボールの母国からやってきた男がJ文化と日本人のコミュニケーションスタイルについて語り尽くす【独占インタビュー】

「選手としても人間としても直接的なコミュニケーションを求めている」

率直なコミュニケーションを好むジェイ 写真提供:Getty Images

―― それでもファンにとっては、サッカー選手は何万人もの観客の前で最高レベルのパフォーマンスを見せ、そのために多額の報酬も得ている存在です。それ以外の生活は二の次にして、仕事であるサッカーのことだけに専念するように期待されがちです

JB:インタビューで言うのは初めてのことだが、正直に話したいと思う。昨シーズン中に、妻が二度の流産を経験した。僕らは5年前から子供が欲しいと思っているが、2016年はそういう意味で本当に悲しい年になってしまった。人間として、本当に対処するのが難しい状況だ。家族や愛する者が悲しんでいる時には、自分の生活や仕事にも影響がないはずはない。それでもサッカー選手はピッチに立ってパフォーマンスを見せなければならない。それが簡単ではないこともある。国外でプレーしていれば特に、個人的な問題への対処はさらに難しくなる。友人やチームメートもいるし、みんな親切にしてくれるが、それでもある種の孤独感はあるかもしれない。僕だけでなく、自分の国や家族や友人たちから離れてプレーする全てのサッカー選手に当てはまることだ。

―― 日本でプレーする外国人選手は、ステレオタイプに沿った見方をされてしまうこともあると思いますか? たとえば、勝つことが義務付けられるリーグでプレーしてきたのだから、審判や監督に反抗することや、ファウルを得るためシミュレーションをすることもあるというように…

JB:それも難しい質問だ…。僕のプレーしてきたイングランドやイタリアでは、若い選手の頃には、監督とよく話をするべきだと教えられる。自分の意見を伝えて、たとえば「なぜ自分がプレーできないのか?」「どうすれば先発に入れるのか?」と質問するべきだと。僕はパット・ライス、アーセン・ヴェンゲル、マーク・ヒューズ、セルセ・コズミ、ハリー・レドナップに対してそういう風に接してきた。それも今までに話したことと共通している。自分の性質を前面に出し、我の強さを持つということだ。

―― 日本の選手たちはコミュニケーションが不十分で、あまり意見を言っていないように思われますか? 直接的な言葉はネガティブで乱暴なものだと捉えられることを恐れているのかもしれません

JB:僕は日本でもまだほとんど英語で話しているけど、言葉だけでなく、時には声の調子だけでも誤解されてしまうことがあり得るので、注意するようにしている。だが選手としても人間としても、僕としては何でも直接的に言ってほしいと思う。陰で何かを言われるよりも、「ジェイ、君は良いプレーができていない。もっと頑張る必要がある」と言ってくれた方がいい。同じように、僕の話し方や僕の言うことが気に入らない者がいるなら、そのことを僕に言って理由を説明してほしい。そうすれば謝ることもできるし、同じことを繰り返さないよう努力することもできる。直接的なコミュニケーションの方が簡単だと思うし、誤解を避けられると思うけど、日本の慣習ではそれが違っていることも理解している。

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