Jリーグ 北海道コンサドーレ札幌

ジェイ・ボスロイドが語る日本サッカー。フットボールの母国からやってきた男がJ文化と日本人のコミュニケーションスタイルについて語り尽くす【独占インタビュー】

ジェイ・ボスロイドが語る日本サッカーと文化

語り手:ジェイ・ボスロイド
ロンドン北部イズリントン出身。元イングランド代表。アーセナル下部組織出身で2000年にコベントリー・シティでプロキャリアをスタートさせた。ペルージャ、カーディフ、QPRらで活躍し、2015年にジュビロ磐田に完全移籍。J2リーグ得点王に輝き同クラブのJ1復帰へ大きく貢献した。2017年7月1日より北海道コンサドーレ札幌でプレーしている。

聞き手:チェーザレ・ポレンギ
イタリア・ミラノ出身。1994年に来日し、2010年よりプロ・スポーツジャーナリストとして活動。200以上のサッカー番組に出演。2014年よりJリーグ公式のマッチレビュー及び、ハイライト番組の英語コメンテーターを務める。Jリーグ、Sリーグ(シンガポールサッカーリーグ)、東アジアサッカー連盟を始めとした多くのクラブと仕事を行なっている。

―― ジュビロ磐田を退団したあと、キャリアをどう継続していくかについて様々な選択肢がありました。日本に戻ってくることを決めたのはなぜですか?

ジェイ(以下JB):2015年に日本に来て以来、ここで自分のサッカーを楽しむことができていた。だがそれ以上に大事なのは、ここでの暮らしや人々や文化を楽しめていたことだ。食事も、日本の四季も気に入っている。キャリアの今の段階で、日本は自分が最も幸せでいられる場所だと思う。実際にオファーは他にもいくつかあったが、過去2年間に何度か話したように、選手としてのキャリアをここ日本で終えたいと思っている。だから戻ってくることができて嬉しい。

―― その“幸せ”についてもう少し聞いてもよいでしょうか。この国のリーグと、ジェイ選手がこれまでプレーしてきた他の場所を比較すれば、日本のサッカーで幸福を得るのは非常に難しいという考え方もあると思います。日本ではメディアやサポーターからの要求も他の国ほど強くないのは明らかですが、敗れることが嫌いで非常に感情的なタイプのジェイ選手にとっては、イタリアやイングランドで味わっていたプレッシャーが懐かしくはないですか?

JB:イタリアやイングランドでは、1つでも悪い試合をすることは許されない。メディアから厳しく批判されることになってしまう。レポーターも新聞もテレビ番組も容赦なく叩いてくる。欧州で選手として育てば、それに慣れてしまうものだ。日本ではそういうプレッシャーはないが、それでも常にプレッシャーは感じている。周囲からはゴールを生み出すよう期待されているからだ。選手としては、自分自身でも自分に大きなプレッシャーをかけている。だからこそハングリーさを持ち続けて、ゴールを決めたり試合に勝ったりしたいという決意を持って戦える。自分にできる限りの最高の選手になりたいと思っている。望んでいるような試合ができなければ、すごく腹を立ててしまうこともあるのはそれが理由だ。確かに僕は感情的な選手で、負けるのは好きじゃない。負けるのは苦手なんだ(笑)。試合に負けたあと、「単なる1試合だから忘れてしまえばいい」なんて言われたくはない。そういうメンタリティーがさらなる敗戦に繋がるからだ。負けた時には正面からその敗戦に向き合うべきだ。敗戦を乗り越えるためには、次の勝利に集中するしかない。自分のチームが数週間勝てなければ、僕にとってはすごく苦しいことだ。それで世界が終わるわけではないとしても、作り笑いを浮かべて楽しげに過ごせなんて言わないでほしい。ただ漫然と過ごし、快適な場所にいるだけでは幸せにはなれない。

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