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ラマダーン(断食)中、サッカー選手はどう過ごす? 4時半起床からの生活スタイルを解説【特別インタビュー】

 今月24日、2017年のラマダーンが終了を迎える。サッカー選手にとって断食期間中は、コンディション調整が難しく過酷を極める。先日、日本代表MF本田圭佑もラマダーンのルーツを知り、断食に挑戦していると自身のSNSで明かしていた。そこで、今回はフットボールトライブ・アジアが行なった、ホーム・ユナイテッドのシンガポール人FWファリス・ラミルへのインタビューをお届けする。同選手は我々に断食期間中のトレーニングと試合への臨み方をとても親切に話してくれた。

 「ラマダーン」とはペルシア語、アラビア語で「イスラム暦第9月」を意味する言葉。このラマダーンの1ヶ月間、日の出から日没まで、ムスリムの義務の一つ「断食(サウム)」が行われる。断食中は飲食を断つだけでなく、喧嘩や悪口などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めて信仰心を強める目的がある。しかし、特別な理由があれば免除を認められている。ラマダーンの実行はムスリム内でもここの判断に任せられているのが実情のようだ。(今年は、5月26日から6月24日の期間で行われている。)

「トレーニングがある日は、早朝4:30起床。夜が明ける前に妻が用意してくれたお米、卵、チキンを食べ、スポーツドリンクを飲みます。5:30には食事を終え、5:45:から10分ほど祈りを捧げます。その後、6時くらいに再び眠りにつき、11:30に再び起きます。通常、やるべきことがないか携帯を確認。もしなにもすることがなければ、ただただリラックスしています」

「私の妻は様々な勤務時間で働いているので、午後のシフトに入っていると仮定すると、15:30から働くために私は彼女を見送り、私は17:00から1時間半~2時間の練習へと向かいます。1度目のトレーニングを終え、ストレッチとウォームダウンエクササイズを行い、だいたい試合の1日前か2日前に氷風呂に入ります。数名の選手たちは暖かい風呂も冷たい風呂にも入るのですが、これはプレーの質を上げ、筋肉をほぐす助けとなるからです」

「トレーニングが終わったら、イフタールです(ラマダーンに、日没後初めてとる食事のこと)。数名の選手たちと家へ向かいます。ホームユナイテッドはムスリムの選手用の食事を用意してくれています。今週のはじめにもホームユナイテッドは全ての選手でイフタールを開催しました」

「今週金曜日は(6月23日)、アルビレックス新潟シンガポールと対戦するので、前日は早く寝ることになると思います。私は、4:30か5:00に起床し、朝シフトの妻を仕事場に送り、7:00にまた眠り、12:45に起きます。金曜日のお祈りは、私の家の近くのモスクに行きます。1:45に行き、一度家に帰って1時間の仮眠をとります。もし寝ないと決めた場合、テレビを観てリラックスします」

「全ての選手が18:00にジャラン・ベサール・スタジアムに到着します。私たちはスタジアムで食事をとります。数名の選手は自分で食事を持ち込むが、ホーム・ユナイテッドはチョコレートバーやカレー・パフなどの食事と、エナジードリンクや水などの飲料を与えてくれます。僕たちは19:45から30分間のウォームアップ(ラマダン期間中、Sリーグは20:30にキックオフ)。ドレッシングルームに戻り、コーチが試合前最後の指示を伝えます。試合が終わったら、ピッチサイドで反省とウォームダウンを行ないます。一度更衣室に戻り、冷水風呂とシャワーを浴び、家に帰ります」