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ベッラッティが選択すべき新天地は? 新時代のレジスタに提案したい4つの候補

ベッラッティが選択すべき新天地は?

著者:マッシモ・カッレガーリ

 パリ・サンジェルマンに所属するイタリア代表MFマルコ・ベラッティは、移籍の不安を消すために5年で4回契約更新をした。しかも2016年の6か月中に2回契約更新が行われた。しかし、十分ではなかった。

 ペスカーラでエラス・ベローナの伝説ジュゼッペ・ガルデリシ監督に見出され、セリエBでズデネク・ゼーマン監督の信用をもらい、PSGでカルロ・アンチェロッティ監督に育てられ、ローラン・ブラン監督のもとで成長を遂げた。しかし、残念ながらウナイ・エメリ監督のもとでは今シーズンもチャンピオンズリーグ優勝にたどり着くことはできなかった。PSGはカンプ・ノウで94分のスペイン代表DFセルジ・ロベルトのゴールで大逆転負けを喫しバルセロナに粉砕された。ベッラッティは2013年にCLデビューした頃、同じくカンプ・ノウで開催されたCL準々決勝で拍手喝采を浴びた。今回こんな幕切れでCLに「さよなら」を言わなければならないのは、あまり気の毒な形だった。

 バルセロナはベラッティの新天地となるかもしれないが、移籍先候補には彼とPSGが喜びそうなヨーロッパの主要リーグは山ほどあるだろう。そこで今回は主要4大リーグの中で、それぞれベッラッティをお勧めしたいクラブを紹介する。

リーガ:バルセロナ

 バルセロナに所属するスペイン代表MFアンドレス・イニエスタは、ベッラッティを「自分の後継者だ」と評した。あのイニエスタの発言なので、とても重みのある言葉だ。同選手は下部組織時代に現マンチェスターシティのジョゼップ・グアルディオラ監督を一目惚れさせた。グアルディオラは自分のサイン入りユニフォームをプレゼントし、「君には絶対に素晴らしいキャリアが待っている」と言ったそうだ。その言葉は、たしかに実現した。

 ワールドカップ、EURO、チャンピオンズリーグ。イニエスタは自らのテクニックで多くの優勝を重ね、MVPも受賞した。類まれなる存在だ。ベッラッティの狭いスペースでの技術、ボールの守り方はイニエスタを彷彿とさせる。二人ともテクニックのわりにあまり得点を取らないタイプだ。イニエスタは13回のシーズンをプレーし、3シーズンだけ3得点以上を重ねた。ベラッティは5シーズンの中で、3ゴール以上は一つもない。今季の新加入選手であるポルトガル代表MFアンドレ・ゴメスはあまり活躍することができなかったから、ベッラッティはエルネスト・バルベルデ監督の新たなバルセロナに新鮮な風を与えるだろう。

セリエA:ナポリ

 経済的に考えると無理な話だ。PSGが定めた移籍金1億ユーロをアウレリオ・デ・ラウレンティス会長は払わない。しかし、もしベッラッティがナポリに加入すれば、パスを供給する完璧なセントラルミッドフィルダーとしてフィットするだろう。状況をみながらショートパスで繋ぐかロングーボールを繰り出すか決めることができ、両脇にはスロバキア代表MFマレク・ハムシクとポーランド代表MFピオトル・ジエリンスキがいる。マウリツィオ・サッリ監督が作った素晴らしいスタイルの中にベッラッティを見るのは夢のような話だ。

 ユベントス移籍の噂もあるが、非常に難しいだろう。昨季ゴンサロ・イグアインに次ぐ3200万ユーロという大金を叩いて獲得したボスニア・ヘルツェゴビナ代表MFミラレム・ピアニッチを、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はセンターハーフにポジションを下げたからだ。現在のユベントスにはベッラッティのようなアーティストより、セビージャのMFスティーブン・エンゾンジのような戦士のほうが必要だろう。

プレミアリーグ:マンチェスターユナイテッド

 ベッラッティにとってもジョゼ・モウリーニョ監督にとっても面白い話だ。モウリーニョ監督はスペイン代表MFアンデル・エレーラのアイデアと、同選手の脇でのびのびプレーしていたフランス代表MFポール・ポグバ、そしてベルギー代表MFマルアン・フェライニのおかげでヨーロッパリーグを優勝した。

 フェライニの代わりにベッラッティが加わるとフィジカルが下がるかもしれないが、クオリティーは飛躍的に上昇する。さらには試合によって戦術を変え、エレーラとのポジションチェンジも可能になるだろう。しっかりとサポートを受ける事ができればアシストマンとしての才能も見せられるかもしれない。ベッラッティは今季リーグ1とチャンピオンズリーグを合わせて、7アシストを記録した。この数字は自らの最高記録である2014/2015シーズンの成績まであと1点と迫るものだ。

ブンデスリーガ:バイエルン・ミュンヘン

 ベッラッティはPSGに移籍した頃、20歳とは思えないパーソナリティとテクニックでカルロ・アンチェロッティ監督を驚かせた。アンチェロッティ監督のもとでCLデビューを果たし、さらに自身初のリーグ優勝を成し遂げている。

 あの頃と比べるとベッラッティは成長し、自らの強みと弱みを理解しています。以前よりファウルが減り、前シーズンに比べ今シーズンはファウル率は半分となっている。守備エリアから遠いところで危険が迫れば、すぐさまボールを渡す判断力を磨いている。

 元スペイン代表MFシャビ・アロンソとの別れ、そして攻め上がりに特長を持つフランス代表MFコランタン・トリッソの獲得によって、アンチェロッティ監督は今季の始めに使っていた4-3-3に回帰する可能性がありそうだ。しかしながら、ベッラッティは戦術面で様々な布陣に対応することができ、全く問題はないだろう。ベッラッティは3センターのアンカーでアンドレア・ピルロのようなプレーもでき、2センターのでもフィットするだろう。

 ベッラッティがイタリア代表で最も素晴らしいパフォーマンスを披露したのは、それほど強い敵ではなかったが2015年10月のアゼルバイジャン戦だ。イタリアは4-4-2の布陣を採用し、ベッラッティの隣はラツィオのMFマルコ・パローロだった。彼はまるで足にレーダーがついているかのようにイタリア代表のオーケストラを指揮していた。

 当時イタリア代表を指揮していたアントニオ・コンテ監督はベンチからそのパフォーマンスを楽しみながら、EURO2016に同選手を連れていこうと考えていた。しかしながら、その後ベッラッティは恥骨炎になり出場することは叶わなかった。

 現在のベッラッティはベストの状態にある。もしPSGとの契約を続けなければ、彼にはヨーロッパ中に選択肢が溢れているのだ。