アジア 代表チーム

本田圭佑を豪戦で起用すべきか。W杯出場決める一戦で求められるハリルの選択

中盤という原点回帰

 イラク戦で右のウイングとして再び本田が起用され、効果的なサイドからの攻撃ができていなかったと他の選手たちも感じており、適性ポジションである3選手を起用しなかったハリルホジッチ監督の采配に対し、疑問を抱く理由にもなった。

 例えば、その前のUAE戦とタイ戦で久保裕也の右サイドから中央に切り込むドリブルや相手ディフェンスの背後へのランニングは脅威となっていたが、逆の左サイドで起用されたイラク戦ではプレーに苦しむ様子もうかがえた。昨年、左ウイングとして起用され、4試合連続4得点の素晴らしい結果を残していた原口元気を起用した方がより効果的であっただろう。

 そのヘルタ・ベルリン所属の原口元気は、慣れないトップ下で起用され、ピッチ中央で窮屈そうにプレーしており、残り20分で交代を余儀なくされた。

 怪我の香川真司と清武弘嗣がチームを外れたことを考えると、大迫勇也の後ろでプレーする選手としては本田が理想的な選手であり、イランのディフェンスラインの穴を付くことができただろう。統計でも、本田が最多51本のパスで19本の久保と30本の原口を上回っており、誰よりも味方からパスを受けた選手でもあった。ミランでは右ウイングもしくはサイドハーフとしてプレーし続けた同選手だが、今求めらるのはトップ下もしくはインサイドハーフへの原点回帰だ。

 オーストラリア代表のアンジェ・ポステコグルー監督は3-2-4-1の新フォーメーションをテストしたが、不安定だというのが現状である。最終予選のサウジアラビア戦では3-2という結果を残したが、FIFAコンフェデレーションズカップ前の最後の試合であったブラジルとの親善試合では4-0と大敗している。ダイレクトで、力強い前向きな攻撃を仕掛けるが、守備陣は不安定であり、そういった特徴がアジア王者オーストラリア戦を戦う上でのカギとなるだろう。

 本田は2013年前回のワールドカップ予選において、埼玉スタジアム2002でオーストラリアを相手に同点ゴールのPKを決め、日本を本大会出場に導いた。2017年に似たような状況で同じ対戦相手を迎え撃つ上で、本田が中盤で試合を動かす役割を担うべきだ。

 フットボールの世界において、歴史が繰り返されることは稀であり、思いがけないところから新たなヒーローが誕生することの方がむしろ多い。2011年のアジアカップで李忠成は大会を通じ、わずかな出場時間ではありながらも、決勝戦(オーストラリア戦)で劇的なゴールを決め、日本代表を優勝へと導いた。しかし、本田圭佑はこの約10年間において代表チームの重要な場面で結果を残してきた選手であり、今回もその役割を果たしてくれるに違いない。

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