ラ・リーガ セリエA

【CL決勝 徹底展望】レアル対ユーベは歴史と伝統の象徴。鍵を握るのは“重圧”への対処

ユーベ対レアルは歴史と伝統の象徴

著者:マッシモ・カッレガーリ

 今季のチャンピオンズリーグ決勝カードは必然の結果だと言えるだろう。勝ち上がったのはユベントスとレアル・マドリードだ。

 ユベントス対レアル・マドリードという対戦は、歴史であり、改革であり、伝統であり、グローバリゼーションだ。魅力と緊縮財政、スペイン王家とイタリアの現実。ユベントスとレアル・マドリードはよく似たクラブと言える。各国のライバルチームにとって、この2クラブは「力」のシンボルだ。

 両クラブともに敗北から復活し、再び頂点に返り咲いた。ユベントスはセリエA六連覇を成し遂げ、カルチョーポリでセリエBに降格した汚名を返上した。レアル・マドリードは決勝トーナメント1回戦で6度、準決勝で3度敗退、合計12年連続でCL決勝に駒を進められない時期を過ごした。暗黒の12年間を乗り越えて、現在は3シーズンで2度ビッグイヤーを掲げている。

 共通点は数多くあるが、何か異なる点を挙げるとすればレアル・マドリードが圧倒的な優位を持つ「財政状況」とユベントスの強みであるチームの「調和」だろう。しかし、クラブの歴史と予算が試合に参加することはない。マッシミリアーノ・アッレグリ監督が率いるユベントスは、21年ぶりにビッグイヤーをトリノに持ち帰られる可能性は十分にあるだろう。ユベントスは伝統的にCL決勝と相性が悪く、過去4度(1997年、1998年、2003年、2015年)決勝で苦杯をなめているとしてもだ。「レアル・マドリードが有利だ」とアッレグリ監督は語っている。それでいいのかもしれない。ユベントスが有利といわれた時には、運が回らなかったのだから。

 今回のCL決勝において、プレッシャーは重要な鍵になるだろう。俳優アル・パチーノが主演する映画「ディアボロス/悪魔の扉」には、こういったセリフがある。

「重圧を感じる者は、テンションを上げるどころか重圧に押しつぶされる」

 ユベントスは、その重圧を軽くしようと試みている。しかし、レアル・マドリードにはその必要もない。幾多の決勝を過ごしてきた彼らにとって、今回のCL決勝が29回目の決勝にも関わらずリーガの1試合と同様の感覚で試合に望むことができるのだ。

 アッレグリ監督が作り上げたユベントスはフレキシブルで、今までどんなシチュエーションにも対応することができた。ホームで対戦相手を攻め落とし、アウェイではバルセロナの攻撃をも消し去った。モナコの本拠地スタッド・ルイ・ドゥでは、今大会最高の攻撃陣の一つを封じ込めトリノでとどめを刺してみせたのだ。

 ユベントスは対戦相手のスタイルに適応する力も、敵の弱点をあぶり出す力も持っている。カーディフでの90分間では自らの強みを全てぶつけるだろう。それができれば、脆弱な部分がありながら最後には勝利を収めるレアル・マドリードというクラブにも勝てる可能性があるだろう。






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