プレミアリーグ レスター・シティ

戦術家の血。プレミアリーグを制した4人のイタリア人監督

4. カルロ・アンチェロッティ

クラブ:チェルシー
シーズン:2009/2010

チェルシーは04/05シーズンから幕を開けたモウリーニョ政権が07/08シーズンの序盤で突如終焉を迎え、以降08/09シーズンまでの2シーズンでアヴラム・グラント、ルイス・フェリペ・スコラーリ、レイ・ウィルキンス、フース・ヒディンクと目まぐるしく監督交代を行なっていた。そんななかでもチームは07/08シーズンにCL準優勝、08/09シーズンにFA杯制覇など安定した成績を残しており、長期政権を築くべく2009年6月に3年契約でアンチェロッティの監督就任を発表した。

アンチェロッティ監督は現役時代、パルマ、ローマを経て87年から92年のミラン在籍時にサッキ監督のもとでプレー。セリエA2連覇やUEFAチャンピオンズカップ優勝に貢献し、95/96シーズンにレッジーナで監督業をスタートさせる。パルマ、ユベントスの指揮を経て01/02シーズン途中にミラン監督に就任すると、数々のタレントを見事にまとめあげ8シーズンに及ぶ長期政権の中でセリエA優勝1回、CL制覇2回という功績をもたらしていた。

アンチェロッティ監督がチェルシーに就任した2009年夏の移籍市場では、目立った補強はCSKAモスクワからジルコフを獲得したのみ。ネマニャ・マティッチやダニエル・スタリッジら若手への先行投資が目立った一方、ミランからレンタルバックのシェフチェンコをディナモ・キエフに放出した。アンチェロッティ監督はシーズン序盤にはミラン時代の同監督の代名詞である「4-3-1-2」の布陣を採用し、ドログバとアネルカを前線2枚に配置。しかし、1月にアフリカネーションズカップでドログバが戦線離脱したことを機に、モウリーニョ時代の布陣である「4-3-3」に回帰した。すると、「4-3-1-2」では最適なポジションがなく、開幕から約2か月間ゴールを決められずに苦しんでいたランパードが復活。アンチェロッティ監督はドログバの復帰以降もダイヤモンド型へのこだわりを捨て、シーズン終盤まで続いたマンチェスター・ユナイテッドとのデットヒートを勝点差1で制してチェルシーに4年ぶりのリーグタイトルをもたらした。さらにはポーツマスとの決勝をFA杯も制覇し2冠を達成する。しかし、翌シーズンは12月に一時4位に落ち込む。冬の移籍市場で大金をつぎこんでベンフィカからダビド・ルイス、リバプールからフェルナンド・トーレスを獲得するも、11月にチェルシーと入れ替わって首位に立ったマンチェスターユナイテッドの後塵を拝する形で無冠に終わり、シーズン終了後にアンチェロッティ監督は解任された。

その後、アンチェロッティ監督はパリ・サンジェルマンで19年ぶりのリーグ・アンをもたらすと、13/14シーズンからレアル・マドリードを指揮。就任初年度にクラブ通算10度目となるCL制覇をもたらすも、2年目は無冠に終わり解任された。1年間の休養期間を経て16/17シーズンからバイエルン・ミュンヘンを率いるとブンデスリーガを制覇。史上初となる欧州5大リーグ(英・伊・西・独・仏)のうち4つのリーグタイトルを獲得するという偉業を成し遂げた。

カルロ・アンチェロッティ監督の主な獲得タイトル
ミラン:セリエA(03/04)、コッパ・イタリア(02/03)、CL(02/03、06/07)
チェルシー:プレミアリーグ(09/10)、FA杯(09/10)
PSG:リーグ・アン(12/13)
レアル・マドリード:コパ・デル・レイ(13/14)、CL(13/14)
バイエルン・ミュンヘン:ブンデスリーガ(16/17)

ページ 4 / 4